早稲田に「珍味」という中華料理屋がある。
ストレートに言うと、そこの店主の親父が変である。絶対に普通ではないと言い切れる。

そこの店は、メニューが豊富なのだが「からあげ」と「なす」以外を注文すると親父が怒りだす。運がよければ文句を言いながら作ってくれる。
だから早稲田に初めてくる友達をその店に連れていってあげた。

友達はビンゴで「ラーメンチャーハンセット」を注文してくれた。
親父が「なんだと！」（よしよし、いい感じだ）しかし、親父は僕の期待を裏切って独り言で文句をいいながらラーメンを作りはじめた。（ちっ、運のいい奴だ、俺の友達！）
僕は「なす」を注文した（卑怯な私）。
そして無事ご飯を食べ終え、お金を払おうとレジの前にいく。

ありえない。
店のメニュー表には

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　ラーメンチャーハンセット：６５０円
　みそなす：６３０円
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７３０円なんてありえないし、二人が同じ値段ってこともありえない。目の前に出された明らかなトラップだった。
しかし、食べる前から恐怖に怯えていた友達は、あっさり７３０円支払った。私もなぜか責任（何の責任だ）を感じて７３０円支払って店をあとにした。

あれから友達とは連絡をとりあってません。

今日はついてないと思い、早々に仕事を終えての帰路の途中にまた事件はおきました。

東西線早稲田駅の売店(キオスク)で、私は雑誌を買おうと、何の気なしに新５００円玉を店員の前に差し出しました。しかし、待てどお釣りが返ってこなかったので、その時はじめて店員の顔を見ました。

！！！！！！！！

ラリっている。その顔は明らかにシャブ中のそれでした。
しかも、口からよだれがたれ、夢遊病患者のように横に揺れている。
自分の頭の中では数々の疑問が。
なんでこんな奴に一人で店をまかしているんだ？
責任者はいないのか？ というかこいつが責任者か？
これがキオスクのシステムなのか？こいつは一人でここまできて自分で店を開けたのか？
一体なんなんだ！！

私は目的の雑誌を手にとり、お釣りの２７０円を請求しました。
そのおばさんは視点が定まらず、ただそこに立ちつくしている状態だったので、私は雑誌の値段が表示してある部分を指さし「雑誌は２３０円で５００円払ったからお釣りは２７０円ですよね！」とおばさんの脳に届くように言いました。
するとおばさんは、ゆっくりと僕が指差した部分をさすりはじめました。

！！！！！！！！

完全にイっている。マジかよっ！僕のＤＮＡが“関わってはならない”と警告する。
僕は２７０円を諦め、ちょうどその時ホームに着いた電車に飛びのりました。

なんてこった！ １日に２回もぼったくりに会うなんて……。
最悪の一日だ。

そしてしばらくして、ある事にハッと気がつきました。
もしかして……あれは演技なのか。
いやありえない、すべてを捨て、恥を承知で俺にシャブ中の演技を披露したというのか！ ありえない、しかも２７０円の為に！
もしそうだとしたら、奴は確実にアカデミー主演女優賞をもらえるだろう。くっそ〜、あれは演技なのか！？

次の日、私は会社の帰りに迷わずキオスクに早々に向かった。
奴は……元気で接客している……。
フッ、……主演女優賞おめでとう……。