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悪魔が来たりて…

2002/3/14 32TERU



事件は去年の夏に起きた。
僕には毎年悪魔がやってくる。初夏の時期にいつもの痔病がうずきはじめる。
でもマゾの僕にはそれはちょうど心地いいぐらいの痛みだったので、今まで病院に検査に行くでもなく毎日の生活を送っていた。
だが、その夏は違った…。

要するに、お尻の奥が痛くなるのだ。椅子などに腰かけようとした時に軽い痛みがお尻の奥を襲う。
でも日常生活になんの支障もきたすはずもないし、病院は大嫌いなので、診察には行ってなかった。

そんなある日、痛みがいつもよりエスカレートしているのに気づいた。
でも我慢強い僕は無視しつづけた。そしたら、いつに間にか激痛で歩くのも困難な状態になっていた。救急車を呼ぶかどうか迷うほどの痛みに達していた。限界を感じ僕は相方を呼んで救急病院へ足を運んだ。

病院へついて初めて、熱が39度近くあるのに気がついて驚いた。
しかしそんな事より尻の痛みをなんとかして欲しかった。

医者「どうしましたか?」と聞く。
僕「お尻の奥が痛いです」と、イヤな予感をバリバリ感じながら言う。

看護婦がゴム手袋をはめ始めた。そして次の瞬間、

看護婦「パンツを脱いで体育すわりの状態でベッドに横になって下さい」

…悪魔の儀式の始まりだった。

看護婦「触診が一番よくわかりますので」

わかってほしくなかった。
看護婦はその悪魔の手を僕のお尻の○に入れようと必死にそれをねじ入れた。

看護婦「力を抜いてください。力むと入れづらいので」

力をいれているつもりなんて、これっぽっちもなかった。しかし、男としてのDNAが無意識に“ケツは守れ”と働きかけていたに違いない。

看護婦「はい、大きく息を吐いてリラックスして下さい〜」

力を抜くなんて絶対に無理だった。この瞬間に力が抜ける奴は死人だけだ。
しかし悪魔は強引にさらに力強く、その行進を止めなかった。
悪魔の第二関節まで行進が進んでいたころ、僕の意識は完全に“ほられた”になっていた。気分はまるで虚勢された犬も同然だった。
大事な何かを失った。男として失ってはいけないものを失った…。

そして悪魔は僕の中でブレイクダンスしはじめた。

看護婦「どこらへんが一番痛いですか?」

全部だぁぁぁぁぁぁぁ!! しかも痛さのあまり僕は雄たけびを上げた。

僕「○※■△?%!!!!」

悪魔のダンスは続いた。

僕「○※■△?%!!!!」
看護婦「だいたいわかりました」

ウソつけぇ!!

看護婦「腸の中の毛細血管が腫れてます、内痔の傾向がありますねぇ。軟膏を塗っておいてください。以上」

悪魔の儀式は終了した。診察が終わり、ロビーで待っている相方の元へ戻った。

相方「さっきなんか変な叫び声がしてた。やっぱり病院って怖い」
僕「悪魔でも飼ってるんじゃないの」

あれから、まだ悪魔はまだ来ていない。