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デヴィッド・リー・ロス ライブレビュー

2004/1/30 PhunkDaddy/たかまさ



(PhunkDaddy)
仕事の都合で行けなくなったMTRさんに急遽チケットをタダで譲ってもらって渋谷公会堂を目指した。開演30分ほど前に入場しおもむろに辺りを見渡すと客は中年ばっかだ。全員関係者かと思った。平均年齢42.195歳といったところか。ステージ上はシンプルにマーシャルが積まれている以外これといった飾りもない。客入れにバングルズなんかが掛かっていたが途中から中途半端に新しめの曲が掛かりだしてデイブの若作りではと不安がよぎる。たかまささんは開演直前に到着。

予定時刻を数分過ぎた頃ステージが暗転しライトが点くとヘビメタ4人衆が飛び出してきてギャンギャンおっぱじめた。全員80年代中盤からタイムスリップしてきたようないでたちに軽く引いていると颯爽と、というよりブリブリと奴が現れた。デイブだ!まごうことなきダイヤモンド・デイブだ!上下ピチピチのレザーだ。腿太え〜。ぐっさんみたいな体型だ。いきなりバンヘイレン時代の曲に客も総立ち...かと思ったら2階席はそうでもない。奴はかなり声も出ていて回転ジャンプをかましまくる。どうやら絶好調のようだ。僕的には2,3曲様子を見ていると「まるっきりパラダイス」のイントロが...思わず立ち上がる。サビの部分では不意に高校生の頃がフラッシュバックして不覚にも涙が出そうになりました。まさかこの曲を生で聴く日が来るとは思いもよらなかった。その後も百合神やパナマ、ジゴロなど懐かしい曲を挟む感じで曲をこなしていくがデイブの力強い歌声は衰えを感じさせない、というより全盛期はさぞかし凄まじかったんだろうなぁとバックインザデイズに思いを馳せてみる。

特筆すべきは奴のちょっとした動き。一挙手一投足がメチャメチャ面白くて一々笑ってしまった。何故か客に向かって四股を踏んで突進したり、ミネラルウォーターのボトルを股間に当てて前の方の客をビショビショにしたりと完全にただの変態おやじだ。ギターソロの間は大体へんちくりんな動きをしている、しかも顔は客席に向けたまま。またボディランゲージが異常なまでに押しつけがましくて期待を裏切らない。歳のせいか本人はたびたび袖に引っ込んでヘビメタ4人衆にジャムらせたりしてたが、しばらくしておもむろに出てくると「こいつらどうよ?どうなのよ?俺のバンドは?」といわんばかりの大アピール。お前は休んでただけだろ!何なんだこの大馬鹿野郎は?歳幾つだよ?最高だ。さらに最前列の客がステージに置いていたと思われる携帯を股間に突っ込んだと思ったらドラムの後ろに放り投げてしまった。あれはどうなったんだろう?

アンコール。デイブがひとしきりアコギを奏で、そのままバンヘイレン1stに入っているヘヴィロックンロールへ。この曲は個人的に凄く好きな曲だったので嬉しかった。アンコール最後は待ってましたの「ジャンプ」。キーボードの旋律はギターがやるものとばかり思っていたがそのままあのキーボードが流れてびっくり拍子抜け。ラフだなぁ。こういうところがらしくて非常によろしい。当然大盛り上がり。間奏中に2メートルぐらいの鉄棒をぶんぶん振り回し狂い果てる。訳分かんねー、面白すぎ。最後にジャンプを決めてさようならと相成った。

はっきり言って実際観るまで全く興味がなかった(正確にはいつの間にかなくなっていた)が、本物の底力を見た気がした。20年近く前とは言え頂点を極めた男はやはり只者ではなかった。このような明るく楽しいアメリカンロックはもう時代にそぐわないのか、奴のような真のエンターテイナーがいまいち受け入れられていないのは寂しいものだ。しかしそれ以上に寂しいのはエディ・ヴァン・ヘイレンもスティーブ・ヴァイもビリー・シーンもステージ上にいなかったことだったりする。日本人ギタリストを含むバンドの4人は頑張っていたが役不足の感は否めない。そういえば初めて買ったギターはスティーブ・ヴァイに憧れてアイバニーズを選んだんだよなぁ。そしてそれは「まるっきりパラダイス」のPVのせいなんだよなぁ。何だかようやく一つの落ちが付いた様な気がします。そしてそんな僕は今フリージャズのDJをやっています。最後に改めてMTRさんに感謝。デイブに感謝。


(たかまさ)
1月30日、デヴィッド・リー・ロスのライブに行った。会場は渋谷公会堂。この公演は10月に予定されていたもので、本人が怪我をしたらしく3ヶ月延期になっていた。3ヶ月間待ちに待ったライブである。

会場は満員だった。客の年齢層は異常に高く、30代の人がほとんどのように見えた。だから客席は落ち着いた雰囲気で、興奮して開演前に暴れるやつとか変なおたけびをあげるやつはいない。

デイヴが出てきた。おれは、少々デブで、派手で、ダサいおやじが、サングラスでもかけて登場するもんだと思っていた。しかし、デイヴは、おれの想像とはまったく違うイメージの男だった。ちっとも太ってなどいない。上下黒の皮の衣装で、派手さがない。ダサい長髪を振り乱すようなことはしていなくて、短くさっぱりとしたヘアスタイル。ハンサム。かっこよくて頭よさそうに見えるのがびっくりだった。そんなクールな雰囲気を見せながらも、やっぱりデイヴはデイヴだった。脚はちゃんと高く上がるし、ジャンプもできる。そして腰をカクカクさせて踊った。もういい歳なんだろうから80年代の彼のようなはちゃめちゃなイメージがなくなっているのは当然だが、それでもやっぱりそこらのおやじとはちがうエネルギーを持っている。客を楽しませるのがめちゃくちゃうまい。やっぱり彼は一流のエンターテイナーなんだなあと思い知らされたライブだった。

オープニングはHot For Teacher。いきなり興奮した。この他にもヴァン・ヘイレンの曲をやりまくった。セットリストの3分の1ぐらいはヴァン・ヘイレンの曲だったんじゃないか。そしてやっぱり、ヴァン・ヘイレンの曲が出ると観客は盛り上がった。最新アルバムからは数曲しかやらなかった。きっとソロ曲ばかりのライブだろうと思い、おれは、曲を楽しむのは二の次、ただ生のデイヴがみたいがために行ったので、この選曲は意外であったがうれしかった。

バンドはギター2本、ベース、ドラムという構成。メンバーの演奏技術は特に高いとは感じなかったが、デイヴを引き立てる役はそこそここなしていたと思う。

ラストの曲はJump。ベースの音が強調されていて体にビンビンきて心地よかった。これは当時中学生だったおれが洋楽に目覚めたきっかけの曲であり、この曲があったからこそおれはすばらしい洋楽の世界を知ることができたと思っている。そんな特別な曲をこの瞬間生で聴けているということに感激し、なんというか感無量で目頭が熱くなった。デイヴありがとう。

レポートはこんなところです。すごく楽しめた1時間45分のライブでした。